【 雑木林のパンやさん】 物語

雑木林のパンやさんは、火曜日と木曜日は14年間、土曜日のみは3年間営業していました。17年間、たくさんのお客様に来ていただき、2008年6月末に閉店しました。

この小説は心のマッサージを受けているようでした。

 つるひめさんのブログで紹介されていた

永遠と横道世之介 上、下 は 紹介文を読んで「読みたい・・・」と思ったのです。

翌日 近くの図書館へ・・・

順番待ちとの事・・・予約をお願いして 帰ろうとすると、図書館司書の方が私も読み

「周りの方を見ながら」・・・あの人達に薦めたんですよ・・・との事。

私は知らなかったので・・・人気の本なんだ―と思いながら帰宅しました。 

 

 年内は無理だろうと、半ば諦めていたそんな時に連絡があり、13日水曜日 直ぐに

図書館へ ぶ厚い本 上、下共にお借りすることができました。

読み始めは 世之介が専属カメラマンとして、修学旅行に同行しているところから始まります。

世之介が住んでいるのは 東京のとある下宿屋さん ドーミー吉祥寺の南

ここが ドラマのまん中で、人間模様がゆるやかに 繰り広げられます。

いつも目線の高さがおんなじ世之介と その仕事仲間や 下宿人 みんなみんな 

力みがなく、ありのまま・・・

何か心地良さそう・・・

あっそうそう オーナーでこのドーミー吉祥寺を切り盛りしているのは、あけみちゃん

あけみちゃんと世之介は事実婚の夫婦です。

下宿人は 谷尻くん 大学生

     ドーミーに暮らして4年目の若い女性大福さん

     ドーミー歴が20年ほどの礼二さん

そして 近所に住む野村のおばあちゃん

 

そして そして

修学旅行で知り合い 気が合った担任の先生 ムーさん その息子一歩君も下宿人になります。

一歩君は 引きこもりになって、たぶん思案した挙句その夫婦は一歩君と一緒にドーミ

ーにやってきます。悲愴な顔をして・・・と書いてあります。

世之介は一歩君のお母さんの話を延々と聞き、まるで相談員のように話を聞く羽目にな

ったようです。

そんな話を あけみちゃんが台所で聞きながら 「でもうちは、ただの下宿屋」

「でも うちは、ただの・・・・」と言うが、結局、その息子 一歩君はドーミーの

下宿人になるのです。

一歩君はドーミーの下宿人になったものの 誰とも喋らない 食事はあけみちゃん

がドアーの前に置く。そんな毎日が続くのですが・・・

みんな気になりながらも そんな様子を見ながらも・・・ 無視はしないけれど・・・

何となく気にしている様子が伝わります。

少しずつ変化があります。

だんだん みんなの中に入れるようになり

ある日

一歩君が世之介に尋ねます。

「何のために働いたり、学校へ行ったりするのか?」という質問に

お酒を飲んでいた世之介は「あー無理 無理 そういうのは 焼酎4杯目ぐらいから

お願いします・・・」と。

ふと世之介の脳裏にタシの姿が蘇る。

【・・・それは あれだよ、何でお前が生まれてきたかって言うとね、前世でお前が

いろんな人を大切にしたんだよ。そのいろんな人たちが また生まれ変わって、今のお

前を大切にしてくれるんだよ。・・・

だから何が言いたいかって言うと   人間が生まれてくるのは それは

ごほうびだよ。・・・前世でお前がいろんな人にやさしくしてやったごほうびに

今のお前は生まれてきたんです。・・・い、以上ですが・・・】

 

【どう?】と世之介

 

一歩君 【まぁ、回答としては逃げてると思いますけど嫌いじゃないです】

 

世之介 【だろ? 俺も気に入ってんだよ。この話】

 

一歩君 【でも今のって完全に タシさんからの受け売りですよね】

 

     鋭い一歩に、世之介は素直に頷くしかない。

 

  ⁂ タシさんとは

  タシさんとドルジさんはブータンから一緒に来られた二人で

  ドルジさんは大豪邸で タシさんはドーミーでホームスティをすることになった

  その人です。タシさんとドーミーの下宿人はいろんな話を和やかに・・・

  ブータンの死生観も会話の中にでてきていたんです。

  それが 世之介と一歩君の会話の中に・・・そんな話が出来るようになった一歩君

 

 ******* 環境って 大切ですねー******

 

 

 *** 次は こんな風に言える世之介はいいですよねー たまんないです。

 それは

世之介が数年ぶりに帰省。従兄の清志のお父さんの精霊流しに長崎へ帰ってきたのです。

智子姉ちゃんは福岡で暮らす二人の又従姉「智子姉ちゃんの息子は健ちゃん」

健ちゃん デカくなったなーと世之介が言うと

清志の表情が少し硬い。

「どうしたの?」と世之介は尋ねると

「いや ああいう自閉症の子はさ、子供の時はあれだけど、やっぱり体がデカくなると

ちょっと怖いな」

「えっ」と世之介

健ちゃんを怖いと言う清志を 世之介は まじまじと見つめた。

「だって 昔からよく急に大声を出して暴れてたろ?ああいうふうに

 今でもなるのかなって」

「なるんじゃない。年齢関係ないと思うよ」 と世之介

~~~~~~

「清志兄ちゃん つまんないこと言うねー」と世之介は笑い飛ばした。

「なんで? 別に偏見とかじゃないぞ。でもさ、人と違っていると どう接していいか

 分からない時あるじゃん」

世之介に笑われた清志が口を尖らせる。

「そういう時はさ、相手の目を見てあげるんだよ。相手の目だけをじっと見るの」

「目?」

世之介の言葉を清志がオウム返しする。

「そう目・目なんてさ、そうそう人と違わないから。多少、外見や様子が人と違った

 ところで、

【ああ、この人も俺と一緒だ】 って思うのよ。  

そしたら怖いことなんてなんにもないし、もし暴れだしたら、グッと抱きしめて

【落ち着け。安心しろ。大丈夫 大丈夫】って呼吸を合わせてやればいいんだよ】

 

   ⁂ この二人の会話に 障がいのある子供を育てた親として

     【グッと 心をつかまれました】そして じわっーと涙まで・・・

   

 

 そして そして エバさんのこと その家族のことも・・・

エバさんは世之介の後輩でアシスタントのカメラマンです。

そのエバさんは結婚をして赤ちゃんが生まれそうなんですが・・・難産で・・・

そんな知らせが入ると、世之介は居ても立っても居られず病院へ駆けつける

ドーミーにいるあけみちゃんと一歩は 雨の中を近くの神社へお百度参り・・・

その様子は ひしひしと伝わってきます。

エバさんのパートナー咲子さんは元気になって退院・

小さい 小さい 赤ちゃんは病院に・・・何度も会いに行く世之介。

その病院でエバが 一回だけここで大泣きしてもいいっすか?と世之介に・・・

このあたりから 涙腺崩壊です。

話が前後しますが・・・エバさんからお腹の赤ちゃんの名前を付けてほしいと

頼まれていた世之介 俺でいいのか?と聞きながらも考えていた名前なんです。

名前は 永遠 「とわちゃん」

 

***********

15年後は

とある絵本売り場 そこの店長は大福さん 一歩君もいます。

その会場へ永遠ちゃんの車椅子を押す9歳になる弟の幸之助君 

お母さんの咲子さん お父さんのエバさん なんともにぎやかな家族です。

 

最後のページは

以前世之介がエバから赤ちやんの名前を付けてほしいと頼まれていて・・

名前がきまり手紙を書いたその手紙の全文が 載っています。

 

 この手紙は世之介の生き方そのもの・・・

 煮凝りのようだと思いました。

 

 長ーいながーいブログになりました。この小説は日向ぼっこを

しているような 心地よさ満載なんです。

私が切り取ったこれらの文章は この小説のほんの一部です。

こんなエピソードも書いてあったことが嬉しい。     

                 マー君ママです。