【 雑木林のパンやさん】 物語

雑木林のパンやさんは、火曜日と木曜日は14年間、土曜日のみは3年間営業していました。17年間、たくさんのお客様に来ていただき、2008年6月末に閉店しました。

小さな女の子【うるさくなんかないよ】

 

 

 辰口に家を建てる前

 金沢の宿舎に住んでいた頃 週に一度

 マー君と一緒に ちっちゃい公園文庫へ 

 よーく通っていました。

 

その日は 大きな手作り紙芝居をお母さんたちが制作し 披露して下さるとの事。

ちっちゃい公園文庫には たくさんの子供たちが・・・ 見たいねー楽しみだねーと

いう雰囲気を感じながら・・・マー君と一緒に 空いているところに座りました。

 

紙芝居の演目は【じごく の そうべい】 田島征彦作

 

聞き覚えのある声がしたので 振り向くと スウさん親子です。 挨拶をすると

間もなく 拍子木がなり はじまり・・・はじまり・・・

いよいよと いう時に マー君が アーアーと声を出したのです。

楽しみにしていた男の子が【うるさい~】と言ったので・・・母親の私は そうだろう

と思い マー君を抱いて 立ち上がろうとしたその時・・・

【うるさくなんかないよー】と 声がしました。スウさんの愛娘万依ちゃんの声です。

まわりの子供たちは 紙芝居が始まろうとしている その時だったので 聞こえてなか

ったようです。私には ハッキリ聞こえたので、もう少し座っていようと思い座り直し

ました。 マー君はと言えば その後声を出すこともなく 最後まで雰囲気を楽しんで

いたようです。お礼を言って帰宅する時・・私の心はポッカポカでした。

幼稚園の帰りに ちっちゃい公園文庫へ立ち寄った万依ちゃんからの【うるさくなんか

ないよー】を言ってくれたお陰で 紙芝居を最後まで楽しむことができました。

そのことをお礼と共に伝えたくてスウさん宛に手紙を書きました。

間もなく スウさんからも便りが届きました。 スウさんも万依ちゃんの【うるさくな

んかないよー】は聞こえてなかったとのこと・・・。

 

その数年後

    もう一杯の紅茶の時間―水野スウ

    まわれ、かざぐるま

     が 出版されました。 1990年3月3日 発行

 

 

  万依ちゃん 7歳の誕生日に彼女のことを いっぱい書いた本が出版されたのです

  その本の 190ページに【うるさくなんかないよ】が載せてありました。

 

      ***文字が小さいので 書き写します****

【うるさくなんかないよ】

 家庭文庫を開いている友だちが何人もいるので、幼稚園の帰りによく万依と文庫へ寄

り道します。その日は行ったらちょうど紙芝居がはじまるところでした。あわてて飛び

こんで隣を見たら、偶然、顔なじみのマー君がいつもみたいにお母さんのひざにもたれ

て、半分寝そべった格好で紙芝居をみつめています。マー君は万依より上だけど、歩い

たりしゃべったりできません。でも何か感じることがあると、「あーあー」とか「うー

うー」って声に出す。その日もそうでした。すると横にいた小学生の男の子が、いきな

マー君に向かって言ったのです、【うるさいよ】。間なしに【うるさくなんかない

よ】と、万依が小声で言い返しました。

ほんの一瞬の出来事だったけど、マー君のお母さんはそれがとってもうれしかった、と

後で手紙をくれました。その手紙を万依に読んで聞かせると「だってあん時マー君

ね、あーあーって言って、おもしろいって言ったんだよ。だのにあの男の子、どうして 

うるさいって言ったのかな、きっとまだよくマー君とお友だちじゃないからかな」。

万依のこんな感じ方は、あちこちの文庫やわが家の「紅茶の時間」でいろんな子供たち

と文字通りまぜこぜでふれあう中から、いつのまにか育っていったものかもしれません

親だけが育ててるんじゃないな、と、つくづく、しみじみ、思ったことでした。

 

     水野スウさんの簡単な紹介

 エッセイストで 何冊も随筆を出版されています。

 1984年11月22日からオープンした 「紅茶の時間」は

 万依ちゃんが生まれて・・・子育て仲間がほしくて ただそれだけの

 理由で 週一回 「紅茶の時間」を始めたのです。と書いてありました。

 

 

  

 万依ちゃんが通学していた小学校でパン作り( ^ω^)・・・

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